
午前二時三十七分。
また眠れない。
眠ろうと思えば思うほど、頭の中だけが騒がしくなる。
少し前までの私は、この時間が一番嫌いだった。
暗くなると決まって悪いことばかり考えるから。
「もう彼から連絡は来ないかもしれない。」
「私なんて、最初から必要じゃなかったのかもしれない。」
そんな言葉ばかり、自分の中で何度も繰り返していた。
誰にも言われていないのに、自分で自分を傷つけるのが得意だった。
今日も、先生との電話を切ったあと、一人でぼんやり天井を見ている。
部屋は静か。
時計の針だけが、ゆっくり音を立てている。

不思議だな。
彼から連絡が来たわけじゃない。
何か問題が解決したわけでもない。
明日会える約束ができたわけでもない。
現実は何も変わっていない。
それなのに、心の中だけが少し違う。
先生が最後に言ってくれた。
「今日より明日、明日よりその次の日。心はちゃんと動いていくから。」
その言葉が、まだ耳に残っている。
前の私なら、きっと思っていた。
「そんなきれいごと。」
「どうせ明日も苦しい。」
そう決めつけていたと思う。
でも今日は違う。
「もしかしたら、本当に少しずつ変われるのかもしれない。」
そんな言葉が、ふっと浮かんだ。
自分でも驚いた。
前向きになろうなんて頑張っているわけじゃない。
無理に笑おうともしていない。
ただ、絶望しか浮かばなかった場所に、小さな希望が一つだけ置かれたような感覚。
たったそれだけ。
でも、その”たったそれだけ”が、今の私にはすごく大きい。
窓を少しだけ開ける。
夜風が入ってくる。
少し冷たい。
でも嫌じゃない。
空を見上げると、星は見えなかった。
曇っているんだろうな。
それでも、雲の向こうには星があることくらい知っている。
見えないからって、なくなったわけじゃない。
……なんだ。
恋も少し似ているのかもしれない。
未来が見えないからって、希望まで消えたわけじゃない。
彼が忙しい今日があるなら、笑って話せる明日があるかもしれない。
今日返事がなくても、明日は届くかもしれない。
もし届かなくても、その次の日は違うかもしれない。
そんなことを考えている自分がいる。
少し前なら信じられなかった。
私はずっと、「悪くなる未来」を想像することで、自分を守ってきた。
期待しなければ傷つかないと思っていた。
でも実際は、何も起きていない明日まで、自分で苦しめていただけだった。
先生は未来を保証してくれたわけじゃない。
奇跡を約束してくれたわけでもない。
ただ、「明日は今日より少し優しいかもしれないね」と言ってくれた。
その一言が、こんなにも心に残るなんて思わなかった。

時計を見る。
もうすぐ三時。
眠れない夜なのは変わらない。
でも、この夜が永遠に続くとは思わなくなった。
朝は来る。
今日より少しだけ笑える日も来る。
そんな言葉が、誰かに言われたからじゃなく、自分の心の中から静かに浮かんできた。
それだけで今夜は、十分だった。
真美眠れない夜に前向きになれる言葉、受けとりませんか?


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