「……もしもし。あの、聞こえますか」

受話器越しの沈黙が、少しだけ安心をくれた。
顔が見えない。名前も、詳しい事情も、全部話さなくていい。
だから、ここなら言える気がした。
「誰にも言ってないんです」
声が思ったより小さくて、自分でも驚く。
言葉にした途端、喉の奥がきゅっと痛くなった。
「大丈夫って言われるのが、怖くて」
「やめたほうがいいって言われるのも、怖くて」
間があって、落ち着いた声が返ってくる。
急かさない。決めつけない。
それだけで、胸の奥が少し緩む。
「本当は、寂しいんです」
「連絡が来ない夜、何も言われてないのに、ずっと考えてしまって」
「私が悪いのかなって」
言葉が途切れるたび、心臓の音が耳に近づく。
ドクン、ドクン。
静かな部屋に、私の不安だけが響いているみたいだった。

「好きなんです」
そう言った瞬間、涙が出た。
言葉にするつもりじゃなかったのに。
「でも、全部を話したら、壊れてしまいそうで」
「だから、ほどほどに、平気なふりをして」
電話の向こうで、息を吸う気配がした。
「無理をしてきましたね」
その一言で、もう隠せなかった。
泣いている自分を、止めようともしなかった。
「ここでは、正直でいいですよ」
「答えを出さなくても」
私はうなずいた。
見えないのに、伝わる気がした。
「……ありがとう」
それだけ言えた。
電話を切ったあと、
現実は何も変わっていない。
恋も、関係も、夜の長さも。

それでも、
本音を置いてこれた場所があると思えただけで、
少しだけ、呼吸が楽になった。
真美呼吸できていますか?
本音は言えていますか?
あわせて読みたい



不倫の相談が得意なタイプが違う先生を2人選びました!※既婚者との恋が切ないきもちをどうにかしてくれ… もう十分あなたは苦しんだ!既婚者への恋心を抑える日々を変えていきませんか? ねぇ既婚者との恋、とてつもなく幸せだけど辛いですよね? 「別れる?」「あきらめる?…




