――「どうしてわかるんですか…？」
受話器を握りしめた手が、震えていた。
恋をしてはいけない人を好きになってしまった。
彼は、私の職場の同僚。
笑った顔が優しくて、困っている時は自然に手を差し伸べてくれて。
一緒に過ごす時間が、ただただ楽しかった。
でも、ある日知ってしまった。
彼には――奥さんがいる。しかも、まだ新婚。
その現実を知った瞬間、心の中で崩れていく音がした。
「どうして、好きになっちゃったんだろう」
自分を責めながらも、彼を目で追ってしまう。
仕事中に彼が「昨日、妻と出かけてさ」と話すだけで、胸がずきんと痛む。
誰にも言えない。友達にも言えない。
ただひとりで、ぐるぐると不安に飲み込まれていく。
そんな時、SNSで見かけた「電話占い」の口コミが目に入った。
――「名前も生年月日も言っていないのに、彼のことをズバリ当てられた」
――「先生の鑑定は正確で鋭い。怖いくらい当たる」
最初は半信半疑だった。
けれど、その口コミに書かれていた言葉が頭から離れなかった。
“彼を知っているみたいに当てる鑑定”…
もしそれが本当なら、私の気持ちも少しは救われるのかな。
電話番号を押す指が、心臓の鼓動と一緒に震えた。
プルルル…と呼び出し音。
「もしもし、◯◯先生ですか？」
柔らかく澄んだ声が耳に届いた瞬間、涙があふれそうになった。
「実は、好きな人がいるんです。でも…その人は既婚者で…」
言葉にするのも怖かった秘密を、私は初めて誰かに打ち明けた。
先生は静かにうなずくような声で、「大丈夫ですよ。少し見てみましょうね」と告げた。
そして次の瞬間――
「その方、30代後半くらいの方じゃないですか？」
息が止まった。
だって、私はまだ名前も、生年月日も、一切言っていないのに。
しかも…先生が口にした年齢は、彼の年齢そのものだった。
「えっ…どうして、そんなこと…」
驚きと戸惑いで言葉を詰まらせる私に、先生は穏やかに続けた。
「彼は、家庭をとても大切にしていますね。特に奥様との時間を優先しているように見えます」
胸が締めつけられた。
彼が奥さんを大切にしていることなんて、わかっていた。
仕事でも休みでも一緒にいることも、知っていた。
でも、知らないふりをしていた。
だって…もし「不仲」だと信じられたら、少しは楽になれる気がしたから。
「ただ…あなたに対しても、彼は好意を持っていますよ」
先生の言葉に、思わず涙がこぼれた。
「え…私に、ですか…？」
「はい。あなたの存在を、特別に感じているみたいです。ただ、それを表に出すことはないでしょう。家庭を壊したくないから」
胸の奥に複雑な感情が渦巻いた。
嬉しい。けれど、苦しい。
「好意がある」と聞けただけで、心が少し救われる。
でも同時に、「家庭を壊したくない」という線が、はっきり引かれている。
先生はさらに続けた。
「あなたは、自分の価値を“彼にどう見られるか”で測ってしまっていませんか？ それが不安を大きくしているのです」
図星だった。
彼に愛されなければ、自分には価値がない。
彼が奥さんの話をすれば、自分は負けた気がして落ち込む。
そんな思考の癖が、私をずっと苦しめていた。
「あなたが幸せを感じるのは、彼だけじゃありませんよ。
小さなことでも、心が温かくなる瞬間を大事にしてください。
恋はあなたを苦しめるものじゃなくて、未来へ進む力になるものですから」
その言葉を聞いた瞬間、涙がぽろぽろとこぼれた。
まるで漫画のヒロインみたいに、泣きながら「はい…」と返事をしていた。
電話を切ったあと、不思議なくらい心が軽くなっていた。
彼を想う気持ちは消えない。
でも、「好きになってはいけない」と自分を責める気持ちが少しずつ薄れていった。
――許すことは忘れることじゃない。
彼を好きになった自分も、痛みを抱えた自分も、まるごと受け入れてあげたい。
あの日、勇気を出して電話をかけてよかった。
口コミに書かれていた「正確で鋭い鑑定」という言葉は、本当だった。
そしてそれ以上に――
先生の言葉が、私の心に「希望」をくれた。
もし、同じように苦しい恋で悩んでいる人がいるなら伝えたい。
勇気を出して一度、先生の声を聞いてみてほしい。
きっとあなたの心にも、光が差し込むはずだから。
――これは、私の“秘密の恋”と、電話占いで救われた体験談。
真美いけない恋をしているあなたはずっと険しい顔していますか？
今までしたことがない素敵な表情をしていませんか？
