
愛されたいよ。愛されてるって自信持ちたいよ
「また既読がつかない……」
スマホを握りしめながら、胸の奥がぎゅっと縮まる。
彼に送ったメッセージは、昨日の夜で止まったまま。
ほんの数時間返ってこないだけ。
社会人なら仕事が忙しいのも当然。頭では理解している。
それでも――心は勝手に騒ぎ出す。
嫌われた? 私、また何かした?
もしかして、もう飽きられた?
自己肯定感の低い私は、いつだって小さな出来事を最悪の未来に結びつけてしまう。
彼にとって私は何なのか。彼に愛されていないんじゃないか。
そう考え始めると、スマホの画面を見つめる手が震えて止まらない。
――本当はわかってる。
彼には奥さんがいる。家庭がある。
だから思うように連絡がこないのも当然だって。
「わかってる」のに、どうしてこんなにも不安なんだろう。
恋愛だけが、私の存在価値を証明してくれる。
だから、彼に愛されていないと感じるたびに、私は自分の価値まで否定してしまう。
そんな日々に、もう疲れ果てていた。
***
「なんかさぁ……あんまりメールこないってことは、そんなに好かれてないんじゃない?」
職場の同僚に言われた一言が頭から離れない。
胸の奥にチクリと棘が刺さったように痛む。
「そうかもしれない」
心のどこかでそう思ってしまう自分がいる。
笑ってごまかしたけど、家に帰るとその言葉が何度もリフレインして眠れなかった。
私は、彼にとってなんなんだろう。
***
「一回、占い師に相談してみたら?」
半ば冗談のように言ったのは親友だった。
「占いなんて信じてないし……」
口ではそう言ったものの、心の奥では藁にもすがる気持ちだった。
だって、誰かにこの不安を吐き出したい。
誰かに「大丈夫」って言ってもらいたい。
結局、私はスマホで検索して、評判の占い師の名前を見つけた。
――行ってみよう。そう決めた。
***
薄暗い通りを抜けた先に、小さな看板が灯っていた。
「心の占い相談室」
まるで漫画に出てくるような雰囲気に、思わず立ち止まる。
恐る恐るドアを開けると、落ち着いたアロマの香りが漂ってきた。
そこにいたのは、柔らかな笑顔の女性だった。
「ようこそ。今日はどうしましたか?」
その声を聞いた瞬間、張りつめていた心がふっと緩んだ。
言葉にしようとすると、涙が勝手にこぼれてきた。
「彼から連絡が来ないと、不安で……」
「愛されていない気がして、息が苦しくなるんです」
しどろもどろに言葉を重ねる私を、占い師は遮らず、ただ静かにうなずきながら聞いてくれた。
***
しばらく話をしたあと、彼女は優しく言った。
「あなたはね、小さな不安を大きくしてしまうクセがあるの。
でも、それは“彼が悪い”んじゃなくて、あなたが自分を信じてあげられていないからよ。」
心の奥を見透かされた気がした。
「……私、自分を信じられてないんです」
占い師は微笑んだ。
「でもね、逆に言えば、自分を大事にする方法を覚えたら、恋愛に振り回されなくなる。
まずは、小さな幸せに気づくことから始めましょう。」
「小さな幸せ……?」
「例えば、朝起きてコーヒーの香りが心地よかったこと。
空がきれいだと思えたこと。
そんな些細な出来事をちゃんと“幸せ”って思えるようになるだけで、心は変わっていくのよ。」
私はハッとした。
これまでの私は、彼の言葉や態度でしか自分を測っていなかった。
でも、世界にはもっとたくさんの“自分を認められる瞬間”があるのかもしれない。
***
帰り道。
占い師の言葉が頭の中で繰り返される。
「小さな幸せを見つける」
いつもなら気づかないこと。
街路樹の葉が風に揺れる音。コンビニで買ったスイーツの甘さ。
そんな一瞬が、心を少しだけ温めてくれる気がした。
スマホを取り出すと、彼からの通知はまだなかった。
でも、今日はなぜか胸の痛みが和らいでいた。
「そっか……小さな幸せ、見つけてみよう」
私は初めて、彼の返事を待つだけじゃない夜を過ごそうとしていた。
――それが、私の小さな変化の始まりだった。
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