
強がっていても、どこか心細いのでは?
夜の静けさに包まれると、心はとたんに騒がしくなる。
恋のこと、仕事のこと、未来のこと。
頭の中でぐるぐる回り続けて、眠れない夜が続いた。
本当は昔から、占いに興味があった。
雑誌の星占いをこっそりめくるのが小さな楽しみだったけれど、
誰かに打ち明けるのは気恥ずかしくて、
「私は占いなんて信じないよ」と、強がって笑ってきた。
だけど、恋に迷って立ち止まったとき、
ふとスマホの画面に映る「電話占い」の文字に惹かれた。
ほんの少し勇気を出して、指先でタップ。
呼び出し音のあとに聞こえたのは、
思っていたよりもずっと温かくて、優しい声だった。
「あなた、今すごく頑張ってますね」
たった一言なのに、胸の奥がほどけて涙がにじんだ。
誰にも言えず抱え込んでいた気持ちを、
先生はゆっくりと受け止めてくれた。
気づけば、たくさん励ましてもらっていた。
「大丈夫、あなたの想いはちゃんと届いている」
「焦らなくてもいい」
その言葉ひとつひとつが、
固くなっていた心をそっと撫でてくれるようで。
電話を切ったあと、私は深呼吸をした。
胸いっぱいに新しい空気を吸い込みながら、
「よし!」と気合を入れることができた。
不安が完全に消えたわけじゃない。
でも、少しだけ前を向ける自分がいる。
恋に盲目で空回りしてばかりだった。
自分を責めたり、泣いたり、笑ったり。
まるで小さな嵐に振り回されているみたいだった。
だけど、先生と話したことで、
その嵐の中に小さな光が差し込んだ気がした。
占いはただの気休めだと思っていたけれど、
電話越しの温もりは、私にとって確かな支えになった。
冷静になれた自分と、
まだ少し夢みる心を抱えたままの自分。
その両方を受け止めて、また歩いていこうと思えた。
夜の天井を見上げて、ひとり呟く。
「一度、電話占いしてみるのも悪くないかも」
心が疲れたとき、背中をそっと押してくれる声がある。
それだけで、人はまた前に進めるのかもしれない。

占いは冷静になるきっかけをくれる

