
もともと占いには興味があった。
ネットの星占いや雑誌の運勢コーナーをこっそりチェックするくらい。
でも友達には「信じない」と胸を張って言っていた。
理屈っぽい自分には必要ないと思っていたし、ちょっと恥ずかしかったから。
でも最近の恋は、どうにも手に負えなかった。
好きな人の一言に一喜一憂、LINEの返信が来ないだけで心臓がバクバク、ついには自分でも「私、なにやってるんだろう…」と笑ってしまうくらい空回りしていた。
気づけば、鏡の前で「落ち着け私!」と自分に話しかける日々。
ある夜、ベッドに寝転びながら、ふと思った。「…占い、試してみようかな」
正直、半信半疑。
だけど、指をスマホに伸ばしてアプリを開いた瞬間、なんだか心がちょっとワクワクした。
画面に並ぶ先生たちの名前や写真を見て、どの声が優しいか勝手に想像する自分に、思わずクスッと笑った。
「最近、心が忙しすぎませんか?」
電話の向こうの先生の声は、想像以上に柔らかくて落ち着く。
話しているうちに、自分が恋に盲目で、ただ感情のままに突っ走って空回りしていたことに気づく。
あれもこれも裏目に出て、まるで自分だけがコントの主人公になった気分。先生は笑いながらも的確に、私の行動を指摘してくれる。
「ああ、そうか、私、完全に恋に振り回されてたんだ」と、少しだけ冷静になれる瞬間だった。
電話を切った後、部屋に一人で座りながら深呼吸。「ちょっとだけ目が覚めた」と思った。空回りしていた自分を少し離れて見られる気がした。
これまでなら、好きな人の一言で舞い上がり、変なLINEを送って自滅していたのに。今夜は笑いながら、自分のドタバタぶりを客観的に思い返せる。
占いに興味があったなんて、友達にはまだ言えない。
でも、電話越しの先生との時間は、確実に私の心をほぐしてくれた。
恋に盲目で空回りしていた私が、少しだけ大人になれた気がした。天井を見上げて、小さく呟く。「占いって、たまには悪くないかもね…」
そして明日は、少しだけ冷静に、恋と向き合える気がした。

占いは、自分を見失わないために使ってもいいんだよ